服部越瓜 -はっとりしろうり-
高槻市の塚脇地区で江戸時代から栽培されている。果実は淡緑白色で淡く白い縞があり、3cm程度まで大きくなる。奈良漬けにすると食感がよい。
服部越瓜の味わいの特長は爽やかな歯ごたえにあります。富田酒の上質な酒粕と味醂との相性が相まって白い肌は黄金色へと変わっていきます。徳川家康が賞賛し幕府献上品となったのもうなずけます。
生食されることはあまりなかったようですが、流通が進んだ現代では充分に生食に耐えうる食材でもあります。

大阪の惣菜の中に「白瓜の雷干し」がありますが、これなども服部白瓜で作るとより味わい深く他の瓜にはない食感が楽しめることでしょう。「雷干し」とは、瓜をらせん状になるように切って、夏の日中に陰干しすること。そうすることで水分が除かれ、旨みが凝縮するのです。
干す前に昆布だしに浸してもいいですし、いったん干したものを昆布だしに浸けて戻してもいいでしょう。できあがった雷干しを、茗荷など季節の食材に和えていただく。いろんな料理の中に使うことができるのではないでしょうか。

また夏時期、白瓜を糠床で一夜漬けにするのも美味で、その何ともいえないパリッとした食感とさっぱりした味わいが人気です。
シロウリの栄養価ですが、シロウリはその約9割が水分ですがわずかながらカリウムやビタミンCなども含まれています。
栄養価が希薄そうに見えるシロウリですが、昔から利尿促進作用が認められていて、尿道結石や脚気などにも効用があるとされています。
高山真菜 -たかやままな-
豊能町の高山地区で江戸時代から栽培されている菜種菜の一種。全長が20~30cmで、茎の部分が甘く、つぼみができた後に花野菜としても食する。
炊いた時の茎の柔らかさと甘さ、そして葉のわずかなアクが旨みとなっています。できれば生食をオススメいたしますが、日持ちがしないため塩漬けの利用法も考えたいものです。
畑で収穫した真菜の茎をそのまま囓(かじ)ってみると旨みの深い出汁のような味わいがあります。この味わいは昔野菜ならではのもの。

そんな真菜の味わいがはっきりと分かる料理法をひとつあげるとするなら、サッと湯がいたお浸しを辛子醤油で食べるといったシンプルな食べ方ではないでしょうか。
またドレッシングでサラダとして食べるのもいいですし、真菜を御飯に混ぜ合わせると何とも春らしい色合いと味わいを満喫することができるでしょう。緑野菜が不足しがちな厳寒期に真菜は栄養的にも優れた野菜であることが認めらています。カロチン、カルシュム、ビタミンCなどを豊富に含み、特にカロチンが豊富な栄養価の高い菜だとされています。

真菜のからし和え」
○真菜は塩少々を入れた熱湯で色よくサッとゆで、すぐに冷水にとり水気をしぼっておきます。出汁に薄口醤油、辛子、酢を合わせ真菜を入れて和えます。
「真菜のマヨネーズサラダ」
○真菜は塩少々を入れた熱湯で色よくすばやくゆで、冷水にとり水気をしぼります。次にマヨネーズと辛子をまぜ合わせ真菜とあえます。
「真菜の玉吸」
○寒い時期に暖まる真菜のお吸い物はいかがでしょうか。真菜は塩を入れた熱湯で色よくゆでておきます。これを3~5センチ程度に切っておきます。お鍋に吸い口のだし汁と溶き卵に水溶き片栗粉を混ぜたものを合わせ静かにかき混ぜながら煮立てます。椀に真菜を盛り入れ玉吸を流し入れます。
大阪しろな -おおさかしろな-
江戸時代から栽培が始まり、大阪市の天満橋付近で栽培が盛んだったため、「天満菜」とも呼ばれる。早生種、中生種、晩生種があるが、いずれも葉柄が鮮明な白色で平軸である。
大阪の惣菜料理における菜物の代表選手といえば大阪しろな。比較的アクやクセのない菜っ葉でどのような調味料にも合います。逆にいえば味を入れやすい葉物野菜だとも言えるでしょう。
大阪では昔から、和え物、おひたし、炒め物、漬物などに使われてきました。早生の大阪しろなが出回る夏時期が旬とされていますが、晩生タイプのしろなが出回る冬期のものも、霜がおりる11月頃から次第に、柔らかくなりほのかな甘味もでることから、もうひとつの旬と言えるでしょう。

大阪しろなの栄養価ですが、緑黄色野菜であるため、ビタミンAが多く含まれています。ビタミンAは、皮膚、粘膜を健康に保ち、また目にも良いとされています。
ちなみに大阪では昔からしろなを油揚げと一緒に炊いていたようですが、これなどはビタミンAが油との相性が非常によいことを日々の食生活の中からしっかりと学び取っていた好例だと言えるでしょう。

★大阪しろなを使った料理★
大阪しろなは和え物に、煮物にとあらゆる調理法にマッチした野菜です。簡単に召し上がるには
●浅漬け(一夜漬け)
●胡麻和え
●味噌和え
●炊き合わせ
などの料理法が好まれているようです。中でも大阪ならではの昆布と鰹を使ったダシで炊いた料理は格別だと言えます。
大阪しろなと油揚げの炊き合わせ
<作り方>
①大阪しろなを軽く茹で、適当な長さにきります。
②昆布と鰹の煮出し汁を作ります。
③油揚げは、熱湯をかけてあぶら抜きをし、短冊に切ります。
④鍋に煮出し汁を入れ沸騰させ、沸騰したらしらなと油揚げを入れて、味醂、酒、薄口醤油、塩で味付けして仕上げます。
鳥飼茄子 -とりがいなす-
摂津市の鳥飼地区で江戸時代から栽培されている丸なす。京都の加茂なすに似るが、やや下ぶくれで、果皮が柔らかく、果肉が緻密で独特の甘味がある。
加茂茄子と同様、いやそれ以上に肉質が緻密で、独特の甘味があり、箸で触るとぷつりと切れるほどに柔らかで繊細な果皮。
そのような鳥飼茄子を最も美味しくいただくとすれば、やはり田楽か、もしくは揚げ物や煮物ではないでしょうか。
特に肉質が緻密な茄子は油との相性が良いことから少し厚めに輪切りにした茄子をステーキを焼くように油で焼くことでうま味が増してきます。しかも鳥飼茄子は皮が極めて薄いので、口の中で溶けるような食感が味わえます。

こした味の特長をうまく使った料理としては「みぞれ煮」などがあげられるのではないでしょうか。 茄子は揚げることにより栄養価が低下すると心配される方は、オーブンなどで焼き茄子にし、味噌田楽で味わうという愉しみ方もあります。
ちなみに茄子の栄養価ですが、茄子の皮には、制がん作用があるとされるポリフェノールがたくさん含まれています。果肉部分には高コレステロール血症を改善する働きがありますし、利尿作用も認められています。

鳥飼茄子のみぞれ煮
<作り方>
①鳥飼茄子を一口大に乱切りにします。
②茄子をサラダ油で揚げます。
③お鍋にダシ汁、みりん・醤油・極少の塩を入れ合わせます。
④鍋に揚げた茄子を入れ一煮立ちさせます。
⑤最後に大根おろしを加えて煮て仕上げます。
※茄子を揚げれ時に水がでて油がはねるのでご注意ください。
高山牛蒡 -たかやまごぼう-
豊能町の高山地区で江戸時代から栽培されている牛蒡。京都の堀川牛蒡に似るが、色が黒く、香りが強いのが特徴。
気品ある香りに爽快な歯触り、何とも言えない牛蒡らしい風味。そんな高山牛蒡はどのような料理法ども向いているといえますが、やはり素材が良いだけにシンプルな「たたき牛蒡」がいいのではないでしょうか。
大阪のおせち料理の一品として欠かせないものだったようで、「高山牛蒡なしでは正月が来ない」とまで言われたほどです。

また牛蒡は精進料理にも欠かせない食材で、冬の大阪の惣菜ではなくてはならない主役であり名脇役であったようです。
京都の堀川牛蒡、大阪の高山牛蒡。同じ系統の牛蒡と言われていますが、牛蒡にも京都と大阪の好みの違いが感じられるように思います。

高山牛蒡の胡麻酢味噌たたき
<作り方>
①高山牛蒡を金タワシでよく洗います。
②5センチほどに切りそろえます。
③次に胡麻味噌酢を作ります。これは赤味噌40gに対して砂糖が大さじ7と酢90ccに白胡麻ペーストを少々。
④沸騰させた湯で歯ごたえが残る程度に牛蒡を湯がきます。
⑤湯がいた牛蒡を熱いうちに包丁の腹で叩いて潰します。胡麻味噌酢に3時間程度浸けるとできあがり。